下校途中

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「雛先輩。」 放課後の生徒会室に響く声。 私は後ろを振り向く。 ドアの近くに一人の男子生徒がいる。 彼は現生徒会会長の吉野拓海だ。 「何?」 「この資料見てもらえませんか?」 「……吉野。」 「はい。」 「何故、私に頼る。」 「元生徒会会長だから。」 そう、私は元生徒会会長なのだ。 一年の時吉野が副会長をやり、私が生徒会長をやっていた。 吉野が二年と言う事は、当たり前だか私は三年なのだ。 後一ヶ月でここを卒業する。 「吉野。私が卒業したら、頼れるのは先生だ。 だから、先生に聞いてこい。」 「嫌です。」 昔は素直で可愛かった。 生徒会メンバーから、吉野はいじられキャラだったのに。 なんて、考える。 いつからこうなったのだろう。 「吉野……。」 呆れながら窓の方を向き、椅子に座る。 手首に付けてたヘアゴムで、自分の髪を縛る。 「先輩、やります。」 吉野が私の所へ来て、髪を縛る。 されるがままだ。 「吉野…私そろそろ自分で髪、縛れるぞ?」 「確かに上手くはなりました。 ですが、まだ下手くそです。」 「そんな言い方しなくて良いじゃん。」 ちょっと拗ねたくなる。 これでも、頑張ってるのに。
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