下校途中

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「先輩は髪、縛るの上手くなくて良いんです。」 「何で?」 「僕が髪縛りに行きますから。」 そうは言っても、残り一ヶ月。 吉野と入れるのも少ない。 自分で髪ぐらい縛れないと困るのだ。 もしくは大学に行ったら、髪切ってしまうかもな。 「そういう訳には…。」 「こうでもしないと、先輩の近くに入れないじゃないですか。」 小声で吉野は言ったため、上手く聞き取れ無かった。 「ん?ごめん。もう一回言って。」 沈黙した空気が流れる。 あれ? 何か聞いちゃだめだったのかな。 「先輩が……きなんです。」 「え?」 「先輩が好きなんです!!」 いや、さっきそんな事言って無かった気がするんだけど。 そうではなく。 好き…? 私の事が? え? えと…。 どう返事したら……。 「え、と。よ、吉野……あの…。」 吉野は、私が言ってる途中にも関わらず話しをする。 「ずっと……好きだったんです。 生徒会入ってから、ずっと。 だけど、先輩……モテるから…。 生徒会でしか、話す機会無くて…。 そんな時、先輩が髪縛るの下手だって言う事知って……。」 吉野は話しを続けた。 私の後ろにいるから、どんな顔してるのか、分からない。
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