下校途中

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「妹を実験台にして…頑張ったんです。」 「ちょっと待て!!」 今度は私が話しを切った。 「妹さん…実験台にしたの…?」 「はい……。」 「さぞかし嫌がられたでしょう…。」 「逆に喜んでましたよ。 お兄ちゃんが遊んでくれるって。」 吉野……。 妹をかまってやって…。 それは置いとくにしても。 やっと分かった。 何でこんなに髪縛るの、上手いんだろうと疑問に思ってたんだ。 謎か解けて、すっきり。 だけど、 新たな壁が…。 私が返事に迷っていた時の事だった。 吉野が私に抱き着いて来たのだ。 後ろから。 もちろん、私は吉野に背を向ける姿になってるから、後ろから抱き着かれる姿は当たり前なのだか。 何が起きてるのか、さっぱり分からない。 抱き着かれてるのは分かってるけど。 「吉野……あの…。」 「先輩…。僕の気持ちに気づいてましたよね…。」 吉野は私の耳元で囁く。 背中にぞくぞくっと、寒気がした。 そうだ。 吉野には教えてしまったんだ。 私が耳元弱いのを。 「先輩、最近僕の事避けてましたよね?」 吉野は続ける。 私の耳元に囁く。 …だめだ。 これ以上続けられたら、力が抜ける。 「吉野…お願い。離して…。」
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