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「すみません。怖がらせてしまって……。」
今度はちゃんと、私の目を見て話す。
「いや……別に。」
今も震えは止まらない。
寒いせいなのか。
怖いのか。
怖いにしても、吉野に何かされた訳では無い。
なのに吉野は謝った。
私は、自分の気持ちを伝えず、吉野を避け、傷付けたまま卒業して良いのだろうか……。と考えた。
良い訳ない。
きちんと自分の気持ちを伝えよ。
「あのさ、吉野。」
「僕、先輩の事諦めます。」
「え?」
吉野の顔を見ると、悲しそうな笑顔をしていた。
「先輩を怖がらせてしまっては、例え彼氏になっても守れません。」
「違っ…。」
「だから、無かった事に…。」
「違う!!」
余りの大声に響いてしまった。
うわ…恥ずかしい。
「え?」
吉野は驚いてる。
そりゃ大声を出されたら、誰だって驚く。
だか、吉野の答えは違った。
「何が…違うんですか?」
そっち!?
いや、そっちが正解か。
「いや…あの、怖かったのは怖かったんだけど。」
「すみません…。」
吉野は申し訳なさそうに言う。
私は話しを続ける。
「確かに吉野の言う通り、私は避けてた。
吉野の気持ちに気付いてた。
でも、吉野が嫌いだからじゃない。
……吉野の事が気になっていたから。」
顔を赤くしながら私は言った。
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