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「え?」
吉野の言葉を理解出来ずにいた時の事だった。
私の唇に何があった。
暖かい何が。
「ちょっ……っん。」
私が話そうと口を開けた時、先程よりも深く入って来た。
吉野の唇が……。
「………っん!」
息が持たない。
私は吉野の胸を叩いた。
それに気付いて吉野は唇を離した。
「はぁ…はぁ…。」
突然の出来事に息の仕方すら忘れてしまう。
肩で息をしながら私は吉野に聞く。
「い…いきなり、しなくても…。」
「すみません…。でも…
先輩が可愛かったから……。」
顔を真っ赤にしながら言う吉野。
……こういう顔されるとずるいな。
許せない事も許したくなる。
「で、でも…もう、こういう下校途中とかにするのは、ダメだ。
………恥ずかしいから。」
そう言いながら、吉野の頭に付いてる雪を払う。
まるで頭の上に砂糖を被ってる様だ。
「先輩……そういうのも無自覚なんですよね。」
吉野のがぼそっと呟いた。
「何が?」
「そういう……ずるいと思います。」
吉野の顔を見ると、先程よりも真っ赤だった。
その顔を見て私も赤くなる。
「でも、そういう先輩が好きです。」
どうやら私は、この後輩に敵わない様だ。
雪が振る放課後。
後輩と一緒に帰る下校途中。
私はこの後輩に恋をした。
――――――end
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