時間のいたずら

3/10
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
俺は走る。 だが、上手く走れない。 原因は昨日の大雪の為だ。 焦ってるときに限って良く滑る。 それは分かってる。 だが、焦らずにはいられない。 遅刻なのだ。 下手したら俺は行けなかっただけで不合格なのだ。 それは嫌だ。 絶対嫌だ。 あの徹夜の日々を無駄にはしたくない! そんな時 俺は雪のせいで滑った。 綺麗に滑った。 ついでに尻餅もついた。 「痛っ!!」 痛さに負けずと立ち上がる。 そして周りを見渡す。 誰も見てないよな? キョロキョロして見る。 すると一人の女の子と目が合った。 「……。」 顔から火が出るような思いだ。 うわ恥ずかしい…。 今日はついて無いな。 受験会場には遅刻するし。 転んだ所を女の子に見られるし。 「はあ…。」 そう思うと力が向けて道に座り込んでしまった。 「だ、大丈夫ですか?」 先程目が合った女の子が、こちらに向かって来る。 先程は遠くに居たから分からなかったが、近くで見ると可愛い。 純粋で汚れを知らないような子だった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!