温度差

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「ああ。俺の部屋にもパソコンはあるから。 USB貸してくれたら言われた通りの文をうつ。」 「それをもう少し早く言ってよ。 あー。データ消えた時は本気でショックで泣いちゃったじゃない。」 「滅多に見れない泣き顔見れたから俺は良いんだけど…」 最後まで言う前に、俺は腹の下を抱えて床に寝てた。 ……そ、そんな蹴らなくても…… 「反塚…」 「ごめんなさい…」 痛みに耐えながら俺は言う。 雪乃は満足そうな笑顔をこぼしてた。 まあ、痛いけど 良しとしますか。 何だかんだ言いながら、雪乃は付き合ってくれるんだよな。 そういう優しさが好きだ。 「まあ、反塚…」 「ん?」 俺は立ち上がりながら、雪乃の言葉を待つ。 「貴方が居なかったら本当にピンチだったわ。 ありがとう。 そういう優しさに気配りが出来る反塚…… 嫌いじゃ無いわよ。」 少しの笑顔で雪乃は言った。 満面の笑みでは無いが、その言葉は本当に 心の底から嬉しい。 「そんな事言われると、俺キュンキュンしちゃうよ。」 「洗濯機の中に突っ込むか、あんたのパンツを投げ飛ばす。 どちらが良い?」 「ごめんって…。」 俺自信、雪乃と付き合いたいとか思わない訳では無い。 でも、付き合ったからといって何か変わる訳でも無い。 だから俺は、この温度差がある関係が好きなのかも知れない。 ――――――end
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