風邪の日だからこそ!

5/9
前へ
/50ページ
次へ
いつの間にか、料理出来るようになっていたんだろう。 そういえば、颯太に彼女居たっけ? ……居た気がする。 昔、たまたま見てしまった事があった。 知らない女の子と手を繋ぎながら、 笑顔で歩く颯太を。 心の中に、黒い石ころの様な物が入り込んで来た。 ――嫉妬と言ういらない感情が。 今もいるかなんて分からない。 なのに、何かに焦っている自分がそこにいる。 「一花。どうかしたか?」 はっと意識を現実に戻すと、颯太が心配そうにこちらを見ていた。 「……ううん。何でも無いよ。」 こんな醜い自分を颯太に見せたくなかった。 嫌われたく無かった。 私がお粥を食べようとすると、颯太が止めた。 ……食べちゃ駄目なの? 「一花。まだ意識がはっきりとはしてないだろう。 さっきも何か怖い顔してたし。」 「え、うん……。」 どう返事したら良いのだろう。 まさか、颯太に彼女が居たら嫌だなって言う感情が、嫌だっと説明するのは 面倒臭い。 私は曖昧に返事をするしか出来なかった。 意識ははっきりしてるんだけどね… 「食べさせてやる。」
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加