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いつの間にか、料理出来るようになっていたんだろう。
そういえば、颯太に彼女居たっけ?
……居た気がする。
昔、たまたま見てしまった事があった。
知らない女の子と手を繋ぎながら、
笑顔で歩く颯太を。
心の中に、黒い石ころの様な物が入り込んで来た。
――嫉妬と言ういらない感情が。
今もいるかなんて分からない。
なのに、何かに焦っている自分がそこにいる。
「一花。どうかしたか?」
はっと意識を現実に戻すと、颯太が心配そうにこちらを見ていた。
「……ううん。何でも無いよ。」
こんな醜い自分を颯太に見せたくなかった。
嫌われたく無かった。
私がお粥を食べようとすると、颯太が止めた。
……食べちゃ駄目なの?
「一花。まだ意識がはっきりとはしてないだろう。
さっきも何か怖い顔してたし。」
「え、うん……。」
どう返事したら良いのだろう。
まさか、颯太に彼女が居たら嫌だなって言う感情が、嫌だっと説明するのは
面倒臭い。
私は曖昧に返事をするしか出来なかった。
意識ははっきりしてるんだけどね…
「食べさせてやる。」
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