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「ちょ……っ」
喋ろうとすると、奥まで入って来た。
抵抗するにも出来ない。
私と颯太とでは、力が全然違う。
「………っん!」
息が続かなくなり、私は颯太の胸を叩いた。
それに気付き、颯太はそっと唇を話した。
静かな部屋に、二人の荒れた息だけが響いていた。
何が起こったのかは、わかってる。
颯太にキスされた。
ファーストキスを奪われた。
それはわかってる。
だけど、何で颯太がキスして来たかわからない。
「わかった?」
突然の声にびくっとなる。
わかった?
って何が?
キスした意味?
駄目だ…何もわからない。
いや、本当はわかってる。けど、突然の出来事に頭が追いつかない。
「ま、間違ってたら謝るけど……その……えっと…」
口に出すのが怖い。
間違ってたら赤っ恥だ。
「一花。お前の事が好きなんだ。」
私の言葉を待たずに颯太は言った。
――私の事を『好き』って言った。
嘘じゃ無いと思った。
いつもの颯太の顔が、真剣だったから。
嬉しい…。
すごく喜んでいる自分がいる。
だけど、喜べない自分もいる。
「気持ちは嬉しい……。
だけど、颯太には彼女いるじゃん……。」
嬉しいと言う気持ちを一気に突き落とす言葉。
「は?一体お前はいつの話しをしてるんだ?」
あれ?
違った?
確かに居たよね?
「それはお前が小学生の頃の話しだろう。
確かに付き合っていた子は居た。
だか、当の昔に別れたよ。」
こちらの事実に赤っ恥だ。
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