時間のいたずら

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「そういえば…。」 彼女は振り返りながら言った。 「さっきから馴れ馴れしく健二君って呼んでしまいましたけど、大丈夫ですか?」 ―――健二君。 ただ下の名前が呼ばれただけなのに、息が苦しい。 だけど嬉しい。 「あの…?」 「へ?はい!もちろん大丈夫です! どんどん呼んで下さい!」 やばい、変な声で返事してしまった。 恥ずかしい…。 そんな俺を見て彼女は笑う。 「良かった。私の事も時羽って呼んで下さい…ね?」 いたずらに見せる彼女の顔は、とても綺麗だった。 「はい。」 彼女と色々な話しをしているうちに、受験会場についてしまった。 楽しい時間はもう、終わりか。 名残惜しいな…。 そんな事を考えてると、彼女から思いも寄らない言葉が耳に入ってきた。 「あの、メアド交換しませんか?」 「え?」 突然の出来事に俺は唖然となる。 「いや、あの、健二君と話していてとても楽しかったので… ……もっと話したいな。って思って。 ダメ……ですか?」 顔を赤くしながら彼女は言った。 その表情はとても可愛くて離したく無くなった。 「こちらこそ、良いんですか?」 俺が疑問形で聞くと、ぱあっと表情が明るくなり 「はい!もちろんです。 健二君が良いんです!」 と言った。
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