時間のいたずら

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受験も無事に終わり、帰りの道で携帯を見つめる。 時羽さんか…。 綺麗だったな。 ぼーっと携帯を見つめてると、携帯が震え出した。 「はい!?」 突然の出来事に混乱したが、誰かから電話がかかってきた様だ。 「もしもし。」 「もしもし。」 聞いた事のある声だ。 「はい。」 「あの…時羽です。」 聞いた事があるのは当たり前だ。 今日の朝、一緒に登校して来たからな。 画面を見れば名前が表示されるのに、見ずに出てしまった事に恥ずかしいが込み上げる。 落ち着け。俺。 「あ、はい。」 「あの……受験どうでした?」 心配してくれたのかな。 そうと決まった訳じゃないのに、頬が緩む。 「大丈夫…だったと思いたい。」 笑いながら言う俺。 「私も思いたいです。 いや、健二君が断言してくれたから、大丈夫かな?」 いたずらっぽく言う声。 表情まで見えてきそうだ。 「何か、すみません…。」 「いや、良いんです。 逆に断言してくれて嬉しかったんです。 私は大丈夫だって思えるおまじない見たいな感じで。」 「そう思って貰えると嬉しいかな。」 ここまで自分の言葉が役に立つとは。
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