1・自分という人間について

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 そのノートの書き取りは暫く続けたが、結局判った事は、自分は“人間”に恐怖しているのではなく、ただ興味が無いだけなのだと判って、止した。何も望まない。  それから無口になり、子供の頃より無口になり、人生を悲観し始めた。文学小説を読み漁り、更にその傾向は強まっていった。  その頃は、死ぬ事と、殺す事ばかり考えていた。  例えば、どうやって誰にも迷惑を掛けずに、この世から消えることが出来るだろうかを一晩中思案したり、どうすれば世界の人口を半分に減らす事が出来るかを、授業も聴かずに計画していた。  
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