1・自分という人間について

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 きっと不味いモノでも見たような心地で、わざと視線を逸らしていたのではないか、と思う。あるいは、本当に空気だったのかもしれない。少なくとも、自分はそれを苦痛には思っていなかった。  他の子供がちやほやされるのを見て、嫉妬もしなかった。悲しみもしなかったし、怒りもなかった。ただ見ていた。  両親にとっては、手のかからない、大人しい子供だっただろう。自分でもそう思う。私は親に迷惑を掛けた事が無い(少なくとも自分の人為的過失では)。  
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