1・自分という人間について

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 中学に上がると、人並みに部活をしたし、人並みに勉強もした。残念ながら、どちらも大した成績ではなかったけれど…。そんなに多くはないが、仲の良い友人も出来た。  だが、周りの友人、クラスメートのように、何かしらに情熱を持って行動する事が、自分にはどうして出来なかった。  だから、部活の最後の大会に負けた時も、中学受験に合格したと判った瞬間も、胸から湧き上がる感情はひとつも無かった。  友人達が涙を流す場面で、自分はいつも手持ち無沙汰だったのだ。冷めていた? 違う。本能的に、私は“人間”という概念を避けていたのだ。  
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