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「寒っ」
いくら春でも早朝はまだかなり
冷えこんでいるこの時期
腕まくりをして海で
漁をする人を見ると
一段と寒くなる。
「チェルシー!ちょっとこっち来てみぃや」
そう言われ海水に当たらない
ギリギリのところまで近づいた。
「どうしたの?」
「見てみぃ、こんな魚がかかっとったで、ほら」
つき出されたのはとても不細工な顔をした青い魚。
「気持ち悪ーい」
「気持ち悪い言うなアホ、こいつめっちゃおいしいんやで~。なぁ?」
「あははっ」
青い魚に話しかけるダニーについ笑ってしまった。
「なんや、何がおかしいんや」
「その魚とダニーそっくりだなぁって」
「なんやとぉ~」
ダニーはわざと眉をしかめて魚に顔を似せた。
「やめてよ、区別つかなくなっちゃう」
「…」
急に黙ったダニーに私は少し焦った。
「ゴメン、言い過ぎたかな」
しゅんとなる私にダニーは優しく笑いかける。
「ちゃう…、ホンマ笑ってくれるようなって嬉しいんや。もう1年経つやろか、ここでチェルシーとおうてから」
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