海と桜

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「そういえばダニー、初めて会った日なんであんな態度だったの?次の日は陽気に話しかけてくれたのに」 ダニーの家でちょっと遅めの朝ご飯(あの魚)を頂きながら、 昔の事を思い出していた私は、かねてからの疑問を言ってみた。 「えっ、あ、ゲホっゲホっ…あん時はだな、その…あれやあれ」 「あれって?」 珍しくダニーがオロオロしている。 「そっそのうち話すさかい、今は勘弁してやっ」 「えー、なんでー」 (服が濡れてて少し透けてたさかい…なんて言えるかアホッ) ブォーッ ブォーッ 「あ、貨物船だね」 生産力がほぼ無いに等しいこの島には、 時々、貨物船がきて日用品などを運んできてくれるのだ。 「あれ来よると浅瀬の魚逃げてしまうんや」 だから今日ダニーは朝早くから漁をしてたのか。 「そやチェルシーはなんで海に来たんや?いつもは牧場の仕事してから来るやないか」 少し焦った。 平常を装って笑って答える。 「海が好きなだけだよ。ただ今日は早起きしたからってだけ」 「ホンマか、嬉しいこと言ってくれるやないか。あ、じゃあ牧場の方そろそろ行かんとまずいのとちがう?」 「あっ、いけない!まだモッくん達にエサあげてない!」 急いで立ち上がった私にダニーが尋ねた。 「モッくん…。牛やな。チェルシー、羊の名前なんて言うんや?」 「メイちゃん。ひよこはピッピでニワトリはコッコ。あと犬もいて名前は「ポチ」 やろな。」 「なんで知ってるの!?」 ダニーはポチとお友達? 「アホちゃうかお前…」 なぜか頭を抱えるダニー。 「もう行かなきゃ。朝ご飯ありがとう、ダニーに似たあの青い魚ほんとおいしかったよ!またね!」 そう言ってダニーに手を振りながら帰り道を走り出した。
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