会話もなかった兄妹の逢瀬

9/10

27人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
そこに弓弦が一言。 「だいたい、音哉も冷徹だよ。冷酷じゃなく。やりたくなくても、目的のためにはそれしかないというのなら、私情なんて挟まない。……いや、挟めない。本当に冷酷なのは、この世だ」 「じゃあ、あれは仕方ないとでも?音哉を弁護する気?兄さんが?」 「できる限り弁護するつもりではある。でも限界もあるだろうな…。本人だって分かってるみたいだけど、あれはやり過ぎだ。せめて平和裡に済ませてもらいたかった…。止められないでごめん………」 弓弦にしては珍しい、涙。 「そう………」 姫羅も何故か彼の暗い気持ちに取り込まれたようだった。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加