会話もなかった兄妹の逢瀬

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「で、兄さんはどうするの?」 「また忙しくなる」 「そう…。気をつけてね」 「ありがとう、姫羅」 弓弦はそれだけ言って、ほの暗い廊下の奥に消えた。 妹はそれを見送ると、一人、薔薇を描いていた。 弓弦は色鉛筆を置いたまま立ち去っていた。 姫羅自身は気づいていないが、後ろの大きなシールの下には 「for Kira」 と、修正液でも使ったのか白く描かれ、その下には 「from Yuduru,Yukihiko,Otoya」 と、最初は黒で、後の2つは赤で書かれていた。 やがて出来上がった薔薇には紅・白・黒が鮮やかにちりばめられていた。
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