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高層ビルの外れに、ある男が立っている。
長く前に伸びた髪の間から、その男、弓弦(ゆづる)の眼光が鋭く伸びる。
顔は隠してあり、見えない。
だが、ジャケットやズボンは全て、夜の闇に溶けるほど黒く、それが今の彼の立場を物語っている。
彼は誰にも気づかれぬまま、頭に嵌めているカメラ様の機具を取り出す。
そして右目の前へとレンズを下ろし、リモコンでレーダーを右目のレンズに展開する。
「んー……何だ、あの群れは」
カメラに映るレーダーには、15個程の点がまとまって動いているのがはっきりと映っていた。
そしてそのうちに1つだけある、強く光る点へと、他の点が向かっては弾かれる様子が、そこにあった。
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