偽りばかりの悪夢

12/17

27人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
姫羅は雪彦が自分を罠にはめたと「錯覚」してか、あるいは再び拷問されることへの恐怖からか、「彼によって」自由を奪われた体を震わせていた。 いずれにせよ、彼女にとっては絶望的だった。 自身は知らないが、自分が信じたくないことの数々は、全て真実なのだから。 声が聞こえる。 「………私はそれ(姫羅の聖香)を利用して、紅薔薇王国の新たな覇者となる」 この計画では珍しい、必ずしも出まかせとは言えない言葉だった。 尤も、今部屋にいる人物は、誰も今の王が誰かなど知らないが。 裏で王の恋人(かつ、帝の妹)のために汗水流し、機会があれば王と飲み明かす音哉自身でさえも。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加