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「お前こそ何だぁ?」
「あんなよってたかってでしかかかれないなんて、愚かにも程がある。あげく負ける?ふざけるな」
「何を抜かしてやが……」
「まあいいか。とっとと逃げるなら命は助けてやってもいいが…」
弓弦の眼が白く光る。
それをよそに、
「お前がふざけてるじゃねえか」
男たちは口々に言った。
「いいのか…?」
弓弦が言った瞬間だった。
突然、薄いながらも、薔薇の香りが弓弦の鼻をつく。
それは弓弦の周りで弾け、紫の雲となって、現れたり消えたりを繰り返しはじめた。
この香り、そして輝く雲が、弓弦の心の封印をゆっくりと解く……。
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