四者会談

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運転手が急ブレーキをかけたときでさえ、彼女は態度一つ変えずに寝るばっかりだったのである。 ある意味恐ろしい女だ……。 これまで何度も眠らされた影響だとは思いたくもない(たぶん違うが)。 そんなことはともかく、その女性はフロントで先を行っていた3人に追いついた。 「あれ……?こんなに人数いた?」 「着くちょっと前に乗った。お前が寝てた間にな。よく寝てられたな、あんな急ブレーキかけられて」 何も知らない妹の発言に、滑り込みで同行した兄の鋭い指摘が突き刺さる。 「私が悪いの?その言い方――」 そして女性がそう言いかけたとき、彼女はやっと「毒舌家」と、隣にいる彼の友人の正体に気づく……。 「え?兄さん!?……それに、音哉……?どうして……」 「いて悪いか、馬鹿姫さんよ」 今の状況がまるで飲み込めていない姫羅への音哉の冷徹な言葉は、この2人の関係からして、やはり冷たく映る。
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