27人が本棚に入れています
本棚に追加
「どんな形でもいい…………」
途切れそうな、しかし、芯のある声で、彼女は続ける。
「たとえ誘拐だとしても……
雪彦と一緒にいられるなら…………」
それでもなお、静まり返る。
しかし。
「ちっ…………(甘いんだよ……。だからお前は馬鹿姫なんだよ……!!)」
音哉の舌打ちが、二度目の静寂を微かに破った。
「ご不満でも?」
「世の中、アイツが考えている通りになるワケないのに……。何を、アイツは浮世離れしたことを考えて……!!」
続く弓弦の質問への答には、音哉の、というより、世の中の非情さが溢れていた。
最初のコメントを投稿しよう!