黒紅の衝撃

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「ご機嫌だな」 楽しそうにしている友人を見て、音哉も珍しく顔を綻ばせた。 「じゃあ……俺もやりますか」 (チャポン) そして彼も釣糸を垂れた。 2人の太公望は、そのまましばらく、他に何をするでもなく、ただ、眼前の糸や浮きの動きに全神経を向け、あるいは、食らいついた獲物を逃さじと、全力でロッドを引き上げ、糸を巻き取り、そして確実に仕留めるのみだった。 そしていつしか正午を過ぎた。 「こんなところか」 弓弦は不意に竿を回収する。 彼の大きなクーラーボックスの中では、溢れそうなほどの魚が、今にも跳びだそうかというくらいに踊り狂っていた。
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