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「まさかこんな簡単に騙せるとはね」
碧…………。
いや!
雅晴が、件のカップルが乗る車のエンジンを切り裂いていた。
結果、エンジンは爆発炎上したのである。
破壊された車の前に立つ雅晴の紅い服は所々裂けており、黒い下地が風を受けて翻る。
そして彼の右手からは、真剣…………
というより、聖香そのものが剣をなして伸び、赤黒い稲妻をちらつかせていた。
瞳もどこか闇がかっていた。
これが、彼の本性だった。
「分かった?
……紅薔薇の王、そして白薔薇の姫」
彼が言う2人は――。
「…………何者だ……?碧、お前は……」
雪彦はどうにか直撃は免れ、無理な姿勢ながらも、雅晴の正面に立っていた。
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