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「待てよ……」
弓弦はそう言ってリモコンを操作し、レーダーに代えて透視スコープを展開した。
同時に、カメラから黒い光が灯る。
それは、彼の存在に全く気づかない、その女の左手首を直に通る。
それから彼がバイザーを覗くと…
彼女の左手首に、白い薔薇の痣…
いや、紋がはっきりと刻まれていたのが見えた。
弓弦は点の輝度から、そうかもしれない、とは感じていた。
彼は分かっていた。
それが自分の場合、光のサインとして現れるだけなのだと。
そして、自分のは後天的なものだが、彼女のは生まれつきのものであるとも。
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