黒を知る紅

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「遅かったか……」 弓弦は顔を曇らせながら、2人に気づかれぬようにボソッと呟く。 そこから彼の思案が始まる。 そもそも姫羅をさらって何か得するのか…? 確かにこのケースでは身代金目当てというパターンはかなり多い。 しかし、ちょっと考えてみれば、身代金は絡まないはず。 レーダーに映った光の色から見ても、剣士は敵同士だし、姫羅は片方にとっては敵のはずだ。 要は、単なる人質として、か。 ならば、何故その赤い点のほうは変に姫羅を庇う? 確かに彼女はデートしていたようにしか見えなかったが……。 弓弦の頭を疑問ばかりが巡る。
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