黒を知る紅

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「破綻するとか何とか言ってたようだが……なら」 弓弦は、今泣けるのなら、いくらでも泣きたかった。 「私が兄だとは後で自分で言う。だから、妹には私のことは言わないでくれ。頼む………」 音哉にとっても、たとえ目的のためだとしても、弓弦を裏切りなどできない。 彼には分かっていた。 「そうか…。分かった。あと、いるなら気が済むまでいていい」 「ありがとう…」 奇妙な糸が、細いながらもピアノ線のようにきつく結ばれていた。 それは彼らゆえの苦しみも一緒に絡めていた。
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