27人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
「じゃあ、やってくる」
音哉はそれだけ言って、土足(弓弦もそうだが)をツカツカと鳴らし、姫羅を見下ろす。
焦茶色の瞳が虚ろに開く。
弓弦はそれだけ見ると、フェイスガードを外し、テーブルに置く。
凸レンズを真ん中で綺麗に割って並べたような唇が、テーブルの振動に共鳴するように震える。
それは、たとえ目を背けても、止まりそうもない……。
「気がついたか」
嘲笑じみた声は姫羅以上に弓弦の中で激しく響く。
自分で決めたことなのに。
こうして、彼の背後では地獄絵図が描かれはじめる…。
最初のコメントを投稿しよう!