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それでも、音哉は目的のためだからと諦め、部下に準備をさせる。
間もなく、姫羅の口は布で塞がれ、音哉の手には鋭い脇差が握られた。
(サーッ……)
そして、彼自身の手で、姫羅のワンピースが鋭く引き裂かれる。
もう、たとえ不合理でも、後戻りはできない。
刀持つ騎士は、その思いに駆られ、顔には残忍な微笑を浮かべても、頭では決して笑えない。
彼の心の震えが手にした脇差に伝わり、切っ先が力なく振れる。
だが、後戻りできないから、そう分かっているから………
(許してくれ……姫羅!!)
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