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ヒュン!
空を裂く音とともに、脇差が姫羅の背中に容赦なく襲い掛かる。
「ううっ!」
彼女が喘ぐ姿に、音哉は理不尽な自分の心を深く痛めながらも、あくまで残酷に振る舞おうとする。
「………お前に地獄の苦しみを味わわせてやる」
絞り出した言葉の通りに、自分をも苦しみの中に置きながらも、姫羅を冷酷に虐げる。
もはや、その部屋には風の音と枷が不気味に鳴る音、それと女の子のくぐもった呻き声以外、何もしなくなった。
弓弦や音哉にしても、悲鳴の数と同じだけ、エッジから衝撃波が飛び、自分の心が斬り刻まれているような気がしてならなかった。
漏れるとすれば、音哉の部下の場違いな笑いぐらいだった。
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