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そう言うと、改めて彼を止める音哉をよそに、冷たいロープをほどいた。
姫羅の痛々しい体が雪彦になだれ込む。
彼女にとっては、今、彼がいるだけで、それだけでよかった。
ところで、その間、弓弦は瑞樹を手招きで呼ぶ。
「……え?」
瑞樹は事情が全く掴めないまま、トコトコと弓弦の方に寄った。
「えーと、瑞樹君?」
「はい………?」
「止めてくれてありがとう。多分音哉も本当はそう思ってるよ」
瑞樹には、音哉が感謝していると言われた意味が分からなかった。
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