序章

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「こうも血に狂うとは、実務に使える代物ではありませんね」 少し、思う。……これも、禁句なんでは……と。 「…頭の痛ぇ話だ。 まさか、ここまでひどいとはな」 苦虫を噛み潰したような表情。だが、すぐに何かに気付いたようで、斎藤、沖田を見た。 「つーか、おまえら、土方とか副長とか呼んでんじゃねぇよ。伏せろ」 「ええ~?伏せるも何も隊服着ている時点でバレバレだと思いますけど」 確かに…。目立ちたくないなら隊服着てこなきゃいいのに……… 隊服と名前で新選組って分かる……… 雪「……余計な事は考えない、考えない」 雪村は、なにかしら考えていたみたい。 (碧羽様…どうしますか?)咲君がテレパシーを送ってきた。私達ほど仲が良いと、思念は強く思う事でつうじる。 そして、言葉ではないから名前を言えたらしい。 (……成り行きに…まかせる……いい?) (はい。碧羽様の望みのとおりに) 「死体の処理は如何様に? 肉体的な異常は現れていないようですが…」 斎藤が死体に目を向ける。 「羽織だけ脱がしとけ …後は――っ、山崎君がなんとかしてくれんだろ」 土方は言いながら、死体の頭部に突き刺さっていたナイフを抜いた。 「…御意」 作業に取り掛かる。 「隊士が斬り殺されてるなんて、僕たちにとっても一大事ですしね」 「ま、後は俺らが黙ってりゃ、世間も勝手に納得してくれるだろうよ」
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