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「言詠様は、本当に………大人びていますね…。
すみません、私も…しっかりしなくては…」
咲君は私を離した。
と同時ぐらいに、手を私の頭にやる。
「あぁ……せっかくの髪が……乱れてしまいましたね……」
飛ばされたり、飛んだり、降りたりと飛び降りが激しかったためか、髪はひどいことになっているという。
「……直す…?」
いつも結うのは、咲君。
「……ん~、やりたいのはやまやまなのですが、疑われるでしょうから……
せめて、櫛だけでも抜きたいですね……」
と本格的に思案に暮れている。
「……大丈夫。………………咲君も、疑われないように……そろそろ戻ったほうがいい……」
「……ですね
では、私から」
チュッ
と音を立てそうな、キスを額にしてくれた。
「……私からの、おまなじないです。
………また、明日。
おやすみなさいませ…」
と襖をそっと開け、そっと閉じ帰っていった。
「……おやすみなさい…」
少し額に手をあて、小さく呟いた。
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