一章

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朝がきた。 私は寝る前に、風精霊に頼みまた縄で縛ってもらったので雪村と同じ格好。 雪「……ん…?」 雪村が起きた。 色々独り言を言い、最後に私を見た。きっと、状況整理をしたのだろう。 しばらくして、襖が開きおじさんが入ってきた。 「ああ、目が覚めたかい」 井上源三朗だった。 「すまんなあ、こんな扱いで……。今、縄を緩めるから少し待ってくれ」 雪「え…?」 井上は雪村の縄を解き、私の縄も解いた。どちらも、手の縄は残った。 雪「えと、あの、ありがとうございます」 雪村は頭を下げた。 私は 「井上さん………あの少しお願いしたいのですが…………いいですか……?」 「ん?なんだい」 「頭の櫛を取ってほしいのです……櫛は持っていて下さっていいですから…」 と言うと、井上は私の後ろに回った。 「ああ、本当だ。取ったほうがいいね……… っと、じゃあすまないが預かっとくよ」 取ってくれた。 「ありがとうございます」 「いや」 と少し笑った。
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