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それは、普通の家なのだろう。
その家の中の部屋に、小さな一人用丸テーブルと背もたれ付きの椅子がある。
その椅子に、少女が一人座って本を読んでいる。
少女の髪は漆黒。とても長いのだろう。後頭部で平安時代の女性のような髪型で結っているが、まだ腰まである。
瞳は漆黒。ただ、少しの間緑掛かったりするのは気のせいだろうか。
服は、ワンピース。色は水色をしている。違和感を感じるのは、複数のポケットが理由だろう。腰に約5つ。長い両袖に一つずつ。
「…人は、不思議…」
声は鳥のさえずりのように、澄んでいる。
声を掛けられたのは、男性。
漆黒の髪は、肩まである。
瞳は、深い蒼。
服は、燕尾服。手には白い手袋をはめている。一瞬で執事と分かる。
「不思議……ですか?」
「……そう、不思議。こんなにも声がしているのに…………気付かない………」
男は、さして驚かない。馬鹿にもしない。何故か…
世界は広いから。男はそれを知っていた。
「……そうですね。ですが、私にはもっと疑問に思う事があります」
少女は顔を上げて、お茶を注いでいる男をみた。
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