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あいつらを幸せにしてやってほしい――
「そう言われてもなぁ……」
あの後、先生は俺達に寮の鍵を渡し、解放してくれた。俺の部屋の番号は213。
覚えやすい数字でよかった。
鶇世夜はもう少し校舎を探索するらしく、千春も鶇世夜に着いていってしまったので、今は俺一人だ。
俺も校舎を探索したかったが、何だか凄く疲れているので止めた。
「えーと、寮は……あれか」
校舎から徒歩2分程の所に、寮らしき建物が見える。
というか、寮で間違いないと思う。
俺はその建物の扉を開けて中に入った。
「な、な……なんじゃこりゃあ!?」
建物の中は、俺の予想を遥かに凌駕していた。
例えるなら……屋敷。
床には赤い絨毯が敷かれており、その上には髪の毛一本落ちていない。
辺りを照らすシャンデリアは、太陽のように眩しく、月のように美しい……
左右には、数字の書かれた扉が4つずつ配備されていた。
この奥は、長い通路となっており、生徒の自室となる部屋が沢山並んでいる。
ホテルの廊下に凄く似ている。
俺の部屋は、2階の左奥の扉の向こうにあるみたいだ。
*
213号室はすぐに見つかった。
一応向かいの212号室の人に挨拶をしておくか。
俺は、212号室の扉の横にあるインターホンを指で軽く押した。
特徴的な音が室内から漏れてくる。
少しすると、鍵を開ける音がした。
ゆっくりと扉が開く。
「あの、向かいの213号室の設楽誠という者で……す?」
扉を開けたのは、小学生くらいの小さな女の子だった。
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