1年0組

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光は、余り足が速い方ではなかったらしく、すぐに捕まえる事ができた。 「ごめん、こいつが変な事しちゃって……」 何で俺が頭を下げているんだ? 「ううん……私こそ、突然逃げ出したりしてごめんなさい……」 「ごめん光ちゃん。怖がらせちゃったみたいだね……」 千春が光の手を取りながら言った。 「千春……お前、反省してるのか?」 「勿論さ!女の子を泣かせてしまうなんて、僕はまだまだ駄目駄目紳士だよ……」 「変態紳士の間違いだろ?」 「おいおい誠君。誰が君を0組に連れていってあげたと思っているんだい?」 痛い所を突かれてしまった…… 「そういえば、何なんだ0組って」 「え、知らないの?」 光が驚いたような表情でこちらを見てきた。 「0組は……まぁ、どこかが悪い人のクラスって言うのかな……」 「千春も何処かが悪いのか?一見そうは見えないけど」 千春は首を横に振る。 「いや、全然」 「……いきなり矛盾してないか?」 「あ、あれ?おかしいな……」 光は自分の額を押さえながら、何かを考え始めたようだ。 恐らく、記憶を探っているのだろう。 少し間を置いて、俺は一つ光に問いかけてみることにした。 「光は何処か悪いのか?」 「……見ての通りだよ」 光は自分の髪を触り、自身と俺たちとの相違点を示した。 「私はね、“先天性白皮症”っていう病気なんだ……」 先天性白皮症? 後で調べておこう。 「そろそろ戻ろ?チャイムが鳴っちゃうよ。」
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