1人が本棚に入れています
本棚に追加
俺達が教室に戻ると、既に先生が教卓付近に置かれている椅子に座っていた。
他の生徒も皆、自分の着席している。
「お前らも早く座れ。ホームルーム始めるぞ」
けだるそうに先生が言った。
俺達が着席すると、先生は立ち上がり、
「はい、それではホームルームを始めたいと思います。まずは軽く自己紹介を。私は『田城清蔵(タシロセイゾウ)』。担当教科は社会。よろしくねー」
と棒読み言った後、先生は軽く頭を下げた。
「えー、他人を知る為にはまず、自分を知ってもらわないといけないので、一人ひとり自己紹介をしていってもらいたいと思いまーす。自分の名前と、知ってもらいたい事を一つだけ発表してください。んじゃ、まず窓際の君から」
先生が俺の二つ前の席の少年を指差した。
少年が自己紹介を開始する。
他人を知る為にはまず自分を知ってもらわないといけない――か。
妙に心に残る言葉だ。
「はいありがとうございましたー。矢野はテレビショッピングが好きなんだねー。んじゃ、どんどん行こうか」
最初のコメントを投稿しよう!