プロローグ

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 白銀。  この都市のイメージカラーは? と訊かれたら、大半の人間がそう答えるだろう。  しかし、実際の『色』は違う。  人の欲望と、その被害者の二つから抽出された『色』は、もはや人間の感知できるものではない。  モノレールや、排気ガスを出さない『エナジー』だけでエネルギーを賄う乗り物や電化製品のおかげで、地球の環境は非常によくなっていた。  子供たちは知らない。この背景に、戦争があることを。  大人たちは皆、黙っていることだろう。 「くだらない。これが人間のすることか」  歩道橋の上で流れ行く人の営みを眺めていた少女は、おもむろにそんなことを言い出した。  人間離れした白い肌に、肩まである赤い髪。  その青い瞳に、光はない。  とても言い表せない『闇色』の輝きが灯っていた……。  
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