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腕を組んで、彼女が現れるのを待つ。と、珱美がにやにやして言った。
「偶然にしても、可愛い子でよかったな。圭吾」
「ん?」
「今夜を馴れ初めとして、彼女と長~くお付き合いするとしようや、な!」
肩をやけに強く叩かれる。痛む箇所をさすりながら、苛立ち任せにやつを睨んだ。
「お前、早速狙ってんのか」
「は?」
珱美はぽかんとした表情をして、
「違う。お前に言ってんの」
「俺?」
「新しい恋でも始めませんか、ということさ。来たぞ」
唯がきょろきょろしながら戻ってきた。
新しい、恋……?
予期せぬ言葉を投げかけられた俺は、彼女に歩み寄っていく珱美の背中を、複雑な思いで見つめていた。
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