(序) 三年目の春に

3/4
前へ
/149ページ
次へ
 二階から見下ろす南向きの窓の外には、桜の舞い散る猫の額ほどのスペースの公園。  その景色を見て思わず即決してしまい、最寄り駅まで徒歩45分の道のりに、これは早まったかなと思ったのは引っ越して10日目のこと。  早まったかなという気持ちを持つに至ったのは、それだけが理由ではない。  染みだらけの壁や、立て付けの悪い窓なんかもそうだが、そんな程度なら慣れっ子というもの。
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加