第一章

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―2006年 春― 桜が満開になり少し散り始めた頃、私は中学一年生になった。 入学式の前に全部散ってしまわないで良かったね―なんて話したのを覚えている。 入学した中学校には同じ小学校出身の人が7~8人しかおらず、みんな寂しいとかせっかく仲良くなれたのにとか、色々言っていたが、私はむしろ良かったと思っていた。 人間関係に疎いというか 友達というのにそこまで執着心がない私は、せっかく仲良くなれた友達ともクラスが離れればほとんど接点をつくらなかった。 そのおかげで大抵の友達と疎遠になり、卒業まで仲良くできた友達は決して多いとはいえなかった。 でもだから寂しいとは思わなかった訳ではない。 6年生のクラスでは最上学年であるせいか結構厳しかった。 掃除をしっかりやらなければその場所担当の班だけではなくクラス全員が居残りして掃除し、クラスで一人ずつ反省の言葉を言わされたり、班で話し合ったりするのだが、一回だけ私がいわゆる掃除事件の当事者になったことがある。 そのとき私はトイレ兼体育館倉庫の掃除の班だった。
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