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8対2。
当然だけど俺、圧勝。
「かー負けたぁ!ったく…抜かりねぇのな、伊周」
「それほどでも。つーか俺がいなくて寂しかったかよ。ん?」
ぺしぺしと頬を軽く叩いてやれば二舟が口をヘの字に曲げる。
「うっせ。どうせ向こうで女侍らしてたんだろ“ナチュラルスケコマシ”め」
「バーカ、俺はお仕事してたの。九州なんてなかなかスリルある職場で半年もだな――…」
「スリルって、おま…!海賊に会ったのか?!」
「いや。残念ながら一度も」
「よかった…」
「‥心配してくれてありがとな。けど、藤原 純友の反乱から40年。対策くらい立ててるだろ」
藤原 純友(ふじわらの すみとも)。
元伊予の国司でありながら瀬戸内海の海賊たちを率いて反乱を起こし、伊予の国司や太宰府を攻め落とした。
当時の朝廷に衝撃を与えた事から、伊予の人々に未だ恐れられている人物。
『純友には遺児が居る』
そんな噂もあった。
だからこそ、二舟は心配してくれたのだろう。
いい友人を持ったと思う。
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