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「‥っあ…」
視線が合った、瞬間。
俄かに目眩を覚えた。
吹き上げる風が教えるのだ。
焚き染められた香の匂いを。
今どんなに近くに居るのか、どれ程遠く離れていたかを思い知らすように。
ヤバい。
顔が熱くなってきた。
今の俺、もしかして赤くなってたりするのか?
これじゃあまるで俺が叔父上に惚れて……違う!
断じて、絶対あり得ない!!
慌てて恐ろしい考えを拭い去ると、徐に二舟の腕を掴んで背を向けた。
「行こう、二舟。みやげ話がたくさんあんだよ」
「ちょっ、いいのか…?」
「いいんだって‥」
「よくない。俺と弓をするんだろ?来いよ」
皆まで言わせず、道長が反対の腕を強引に自分の方に引き寄せてきた。
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