太宰治

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最近で、一番衝撃を受けた作品は? と訊かれれば、太宰治の「人間失格」を挙げます。 私の中の太宰治のイメージは小学生か中学生の頃に読んだ「走れメロス」でした。 どちらかと言うと、正統派の友情小説を書く人だなあと思っていました。 ところが、「グッド・バイ」を読むと、あれ、イメージと違うなと思います。ちなみに、この未完の作品は、井坂幸太郎さんが独自にアレンジして完結させています。それがきっかけで原作も読みました。 次に斜陽とパンドラの匣を読みました。特に、没落貴族を描いた斜陽が私は好きでした。 そして、最近になり、「人間失格」を読みました。新潮文庫の限定カバーがかっこよかったというしょうもない理由です。 はっきり言うと、私は太宰の生涯やあの作品の秘話などは知りません。ただ、読みながらに太宰の執念のようなものを感じました。小説を書くということはこういうことなんだと思い知らされました。 その後、少しの間、小説を書く気が失せました。私の書いているものなど、アマチュアの遊びみたいなものなのだと自信が無くなったからです。 今では、太宰ほどの作家と自身を比べていることの馬鹿馬鹿しさを感じ、開き直って楽しく小説を書いていますが、これほどの作品を書きあげた太宰の凄さに今でも多くのファンがいることを納得させられます。
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