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平助と千鶴は小さな平屋で静かに暮らしていた。
そして平助と千鶴の間には5つになる息子の「太郎」と一緒に…
「あ!俺の魚!こら!太郎!てめー」
いつもと変わらない風景…
飯時になるといつもこう…。
「父ちゃん、残してるじゃん!」
綺麗に一匹だけ残された魚…
他は綺麗になくなっているのに、手をつけないのには平助なりの理由がある。
千鶴はそれを知っているため、空いた茶碗に、二杯目の白米をいれたところだ。
「太郎…父様は好きな物を最後に食べる決まりがあるの。だから、返しなさい。」
「よく言った。千鶴。そうだぞ、好きな物は最後に食べてこそ格別に美味いんだからな。」
太郎から、魚を取り上げ満足気に頭から食らいついた。
太郎はプクっと膨れっ面をし、残りの味噌汁を飲み干した。
「…ごちそうさまでした。」
少し可哀想な気もするが、甘やかしてばかりいては、いけない。
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