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しかし車が停まったのは、とあるチェーン店の居酒屋の駐車場。
不思議に思いながらも、3人に促されるまま店内へ入る。
そのまま個室へ向かうと、当時のナイン・監督・コーチ・マネージャー・そして後輩達まで…
30人を超える団体が俺達を待ち構えていた。
『やっと来たな♪』
くしゃくしゃの笑顔で俺の頭を撫でる監督が、目を真っ赤にして涙を浮かべると、他のメンバーも笑顔で俺の周りを囲むように集まっていた。
目の前で起こっている現実が理解出来ない。
「これ…
なんなんですか?」
と問う俺の前に、アイツが歩み寄ってきた。
『まぁ座れよ。』
そう言って俺を座らせると、アイツも俺の前に座り
『今まで本当にすまなかった』
そう言いながら土下座したのだった。
「ちょっ!
やめてくれ!」
と言おうとした俺の言葉を遮るように、そこに居た全員が、アイツと一緒に頭を下げた。
「なんでだよ!!
謝らなきゃいけないのは
俺じゃねーか!!」
膝が震えた。
こんなに感情的に声を出したのは、あれ以来初めてのことだった。
「俺が皆の夢を…
本当にごめん…」
そこまで言うと、初めてチームメイトに謝れた安堵からか、涙が溢れ膝から崩れ落ちた。
アイツは俺の肩を強く抱き
『違うんだ。
お前が苦しんでたことすら、お前ひとりのせいにして、お前だけを責めることでしか感情を抑えられなかった俺達が悪かったんだ。
仲間なのにな…
本当にごめん。』
冷静な口調でそう言うと、俺の肩をポンッと叩きハンカチを差し出した。
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