1人が本棚に入れています
本棚に追加
その先の記憶はなかった。
ただ…
気が付いた時には、俺は病院のベッドの上に居た。
「試合は!?
なんで俺
こんな所に!?」
声にならない声を絞りだし、起き上がろうとすると身体中に走る激痛と、母が涙を浮かべ酸素マスクを着けた俺を抑えつけるのを見て、なんとなく事態を呑み込んだ。
「そうか…
負けたのか…」
力が抜けた。
それは、10年間に及ぶ自分の野球人生の終わりを知った瞬間だった。
もう、敗因も怪我の理由もどうでもよくなって
ただその時は…
溢れる涙を止めることは出来なかった。
その事実を知るまでは…。
最初のコメントを投稿しよう!