回想 ― 試合後 ―

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その先の記憶はなかった。 ただ… 気が付いた時には、俺は病院のベッドの上に居た。 「試合は!?  なんで俺  こんな所に!?」 声にならない声を絞りだし、起き上がろうとすると身体中に走る激痛と、母が涙を浮かべ酸素マスクを着けた俺を抑えつけるのを見て、なんとなく事態を呑み込んだ。 「そうか…  負けたのか…」 力が抜けた。 それは、10年間に及ぶ自分の野球人生の終わりを知った瞬間だった。 もう、敗因も怪我の理由もどうでもよくなって ただその時は… 溢れる涙を止めることは出来なかった。 その事実を知るまでは…。
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