キミの空

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ホームにいた人々がゆっくりと動き出す。 気がつけば、二両編成のグリーンの車両がホームに到着していた。 かなりローカルな趣のその電車に、ボクたちも乗り込む。 ドアのガラス窓から、駅前の風景を眺めるキミの穏やかな横顔。 『冬の空も好きだな……』 外を眺めたまま、キミが呟く。 ガタン――。 どこか懐かしい音を立てながら動き始めた車体の揺れに、少しよろけたキミの手が、ボクのダウンジャケットの袖を掴んだ。 『ごめん!』 いや……。 そんな些細なことにも、ボクはたまらなく嬉しいんだ。 キミが好きだと言った冬空の下、電車がゆっくりと駅舎を後にした。 .
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